台風情報の正しい見方:進路図の「予報円」を誤解していませんか?


台風が近づくと必ず目にする「予報円」。実は、この円の大きさを「台風の大きさ」だと思っている方が意外と多いのですが、それは大きな間違いです。

予報円が示すのは「確率」

予報円は、**「台風の中心が70%の確率で到達する範囲」を示しています。つまり、円が大きければ大きいほど、台風が巨大化しているわけではなく、「進路の予測が難しい(不確実性が高い)」**ことを意味しているのです。

  • 円が小さければ: 進路がほぼ確定している。

  • 円が大きければ: どこに進むかまだ絞り込めていない。

「まだ円が遠いから大丈夫」と油断するのではなく、円の端が自分の住んでいる地域にかかっている場合は、早めの警戒が必要です。また、円の外側でも「暴風警戒域」に入っていれば、猛烈な風が吹く恐れがあることを忘れないでください。

暴風域と強風域の違いを知る

  • 暴風域(内側の赤い線): 平均風速が25m/s以上のエリア。屋外での行動は極めて危険です。

  • 強風域(外側の黄色い線): 平均風速が15m/s以上のエリア。看板が飛ばされたり、歩行が困難になったりするレベルです。


物件や一軒家を守る!プロが教える住まいの事前対策

台風による被害で多いのは、飛来物による窓ガラスの破損や、排水トラブルによる浸水です。直前になって慌てないよう、以下のチェックリストを参考にしてください。

1. 屋外の「動くもの」を徹底排除

ベランダの物干し竿、植木鉢、子供の遊具、ゴミ箱などは、台風下では凶器に変わります。

  • 対策: 可能な限り室内に入れる。どうしても無理な場合は、紐で固定するか、倒して風の影響を最小限にします。

2. 窓ガラスの補強(飛来物対策)

「強化ガラスだから大丈夫」と過信するのは禁物です。ガラスが割れる原因の多くは、風圧ではなく「飛んできた物」の衝撃です。

  • 対策: シャッターや雨戸を閉めるのが最優先。それらがない場合は、窓ガラスの内側から養生テープを「米」の字に貼り、カーテンを閉めておきましょう。万が一割れた際の破片の飛散を防げます。

3. ベランダ・排水溝の掃除(浸水対策)

意外と盲点なのが、ベランダの排水溝です。

  • 対策: 枯れ葉やゴミが詰まっていると、雨水が溢れて室内に浸水する「ベランダ浸水」を引き起こします。台風が来る前に、必ず掃除をして水の通り道を確保しましょう。


停電・断水時に差がつく備蓄のテクニック

一般的な防災グッズに加え、台風特有の「長引く不便」を解消するための具体的なアイデアをご紹介します。

水の確保は「飲む」以外も重要

断水になると、トイレが流せなくなるのが最大のストレスです。

  • ライフハック: お風呂の浴槽に水を溜めておくのは基本ですが、さらに「ポリ袋を入れたバケツ」を用意しておくと便利です。飲み水とは別に、生活用水として最低でも3日分(1人1日3リットル目安)を確保しましょう。

電源確保の優先順位

スマホは情報の命綱です。

  • 対策: 台風の直撃が予想される数時間前には、モバイルバッテリーだけでなく、ノートパソコンやタブレットもフル充電にしておきましょう。これらは「巨大なモバイルバッテリー」としてスマホへの給電に使えます。

室内での「明かり」の工夫

懐中電灯だけでは、部屋全体を照らすことはできません。

  • ライフハック: 水を入れたペットボトルの下に、点灯させたスマホや懐中電灯を置くと、光が乱反射して「ランタン」のように周囲を明るく照らしてくれます。


避難のタイミングと「垂直避難」の判断基準

「避難指示が出たら逃げる」では遅い場合があります。特に夜間の移動は、増水した水路が見えず、強風による飛来物の危険も高まります。

避難の判断基準

  • 高齢者等避難(レベル3): お年寄りや避難に時間がかかる方は、この段階で避難を開始。

  • 避難指示(レベル4): 全員避難。このタイミングが、安全に移動できる最後のチャンスだと考えてください。

垂直避難という選択肢

もし、外に出るのがすでに危険な状況(腰まで水がある、猛烈な風で歩けない等)であれば、無理に避難所へ向かう必要はありません。

  • 対策: 自宅の2階以上、あるいは山や崖から離れた側の部屋へ移動する「垂直避難」を行い、命を守る行動を最優先してください。


台風通過後も油断禁物!二次災害を防ぐポイント

台風が去って晴れ間が見えても、すぐに外へ出るのは危険です。

  1. 増水した河川や用水路には近づかない: 上流で降った雨の影響で、晴れていても急に水位が上がることがあります。

  2. 切れた電線には触れない: 垂れ下がっている電線は通電している可能性があり、感電死の恐れがあります。見つけたら電力会社へ連絡しましょう。

  3. 家の点検は明るいうちに: 屋根の瓦がズレていないか、壁に亀裂がないかを確認します。ただし、ハシゴを使った高所作業は専門業者に依頼するのが安全です。


まとめ:台風被害は「正しい情報」と「早めの準備」で最小限にできる

台風は地震とは異なり、ある程度事前に予測ができる災害です。

「うちは大丈夫だろう」という思い込み(正常性バイアス)を捨て、気象庁や自治体が発信する最新の進路予想や警報に耳を傾けてください。ハザードマップで自分の住む地域の特性(浸水しやすいのか、土砂災害の危険があるのか)を把握しておくことも、立派な対策の一つです。

この記事の内容を参考に、まずは「今すぐできる準備」から始めてみてはいかがでしょうか。早めの備えが、あなたとあなたの大切な人の命を守ります。