イギリスの家はなぜ魅力的なのか?歴史ある住宅の種類と暮らしの知恵を徹底解説
イギリスの街並みを歩くと、まるでおとぎ話の世界に迷い込んだような、歴史を感じさせる美しい家々に目を奪われます。築100年、200年といった建物が当たり前のように現役で使われ、住み継がれているのがイギリスの住宅事情の大きな特徴です。
「古いものを大切にする」という文化が根付いているイギリスでは、家の価値は新築時が最大ではなく、手入れをしながら住み続けることで高まっていくと考えられています。
この記事では、イギリス独特の住宅様式や構造、そして厳しい冬を快適に過ごすための工夫など、イギリスの家に関する知識を詳しく分かりやすく解説します。
街並みを形作るイギリス住宅の4つの主要スタイル
イギリスの住宅は、その構造や隣の家との繋がり方によって、大きく4つのタイプに分類されます。
1. デタッチド・ハウス(一戸建て)
隣の家と壁が接していない、完全な独立住宅です。庭が広く、プライバシーが確保されているため、イギリスでは最も理想的な住まいとされています。郊外の高級住宅街によく見られるスタイルです。
2. セミ・デタッチド・ハウス(2軒1棟の住宅)
2軒の家が中央の壁1枚を共有して繋がっているタイプです。左右対称のデザインが多く、一戸建てよりも手頃でありながら、庭や駐車スペースも確保できるため、中間層に非常に人気があります。
3. テラスド・ハウス(長屋スタイルの集合住宅)
同じデザインの家が何軒も横一列に繋がっている住宅です。産業革命時代に労働者のための住宅として都市部に多く建てられました。ロンドンなどの都市部で見られる美しいレンガ造りの街並みの多くはこのスタイルです。
4. フラット(アパート・マンション)
日本のアパートやマンションに該当します。特にロンドンなどの大都市では、かつての貴族の邸宅を内部だけ改装し、複数の世帯が住めるように分割した「コンバージョン・フラット」が多く存在します。外観は歴史的建造物そのものなのに、中は最新の設備というギャップが魅力です。
歴史が息づく建築年代別の特徴
イギリスの家は、建てられた年代(その時の国王の名前など)によってデザインが大きく異なります。
ヴィクトリアン様式: 19世紀後半、ヴィクトリア女王の時代に建てられた家です。赤いレンガ造り、高い天井、豪華な装飾、ベイウィンドウ(出窓)などが特徴で、現在も非常に高い人気を誇ります。
ジョージアン様式: 18世紀から19世紀初頭のスタイルです。左右対称の美しい均衡、シンプルな外観、大きな窓が特徴で、気品ある佇まいが魅力です。
エドワーディアン様式: 20世紀初頭、エドワード7世の時代。ヴィクトリアンよりも明るく広々とした空間設計がなされ、実用性と美しさが両立されています。
イギリスの家ならではのユニークな内部構造
日本の住宅とは異なる、イギリス特有の設備や習慣についても知っておくと、彼らの暮らしが見えてきます。
暖炉とチムニー(煙突)
古い家には必ずと言っていいほど暖炉があります。現在は環境規制により実際に薪を燃やすことは減りましたが、暖炉の枠(マントルピース)は家族の写真を飾るなど、リビングの顔として大切にされています。
セントラルヒーティングの普及
イギリスの家は石造りやレンガ造りで夏は涼しい反面、冬の冷え込みは非常に厳しくなります。そのため、家中に張り巡らされたパイプに熱湯を流してパネル状の放熱器(ラジエーター)で温める「セントラルヒーティング」が一般的です。
2つの蛇口(お湯と水)
古い住宅の洗面台には、お湯と水の蛇口が別々に付いていることがあります。使いにくいように感じますが、これは昔の給湯システムの衛生管理の名残であり、イギリスの伝統的な風景のひとつでもあります。
豊かな暮らしを支える「DIY」と「ガーデニング」
イギリス人は「家を育てる」ことが大好きです。
プロに頼まず自分たちで壁紙を張り替えたり、ペンキを塗ったりするDIYは日常茶飯事です。週末になるとホームセンターは大賑わいになります。また、どんなに小さなスペースでも花を植え、手入れを欠かさないガーデニング文化も、イギリスの家の美しさを支える重要な要素です。
まとめ:古いものを愛でるイギリスの住文化
イギリスの家がこれほどまでに魅力的なのは、単なる建物としてではなく、先人たちの歴史や記憶を次世代へ繋ぐ「宝物」として扱われているからです。
不便な点があっても、それを「趣(おもむき)」として楽しみ、自分たちの手で心地よい空間を作り上げていく。そんなイギリス流の住まいに対する姿勢には、私たちが今の暮らしをより豊かにするためのヒントが隠されているかもしれません。