着付けの基本:浴衣から着物まで自分で着る|初心者でも美しく仕上がるコツ
「自分で着物を着てみたいけれど、難しそう」「浴衣までは着られるけど、着物はハードルが高い」──そんな声をよく聞きます。
実は、正しい手順とちょっとしたコツを押さえれば、浴衣も着物も自分で美しく着られるようになります。この記事では、初心者でも迷わずできる着付けの基本手順とポイントを、わかりやすく解説します。
■ 浴衣と着物の違いをまず理解しよう
まずは、浴衣と着物の違いを簡単に整理しておきましょう。
| 項目 | 浴衣 | 着物 |
|---|---|---|
| 素材 | 綿・麻など(単衣) | 絹・ウールなど(裏地付きも多い) |
| 下着 | 肌襦袢・裾よけ(簡易) | 長襦袢・肌襦袢が必要 |
| 帯 | 半幅帯が主流 | 名古屋帯・袋帯など種類豊富 |
| シーン | 花火大会・夏祭りなどカジュアル | 結婚式・お茶会などフォーマルにも対応 |
浴衣は「夏の軽装」、着物は「季節・場面に合わせて選ぶ正装」と覚えておくと分かりやすいです。
■ 浴衣の着付け手順(初心者向け)
浴衣は、着物よりも簡単で、練習すれば1人でも短時間で着られるようになります。
【必要なもの】
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浴衣
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半幅帯
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腰ひも2本
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伊達締め(またはコーリンベルト)
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下駄
【着付け手順】
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肌着を着る
浴衣用スリップやキャミソールでOK。汗を吸って着崩れ防止にもなります。 -
浴衣を羽織る
衿の中心を首の後ろに合わせ、左右の長さを調整します。 -
右前 → 左前に合わせる
※「右前」は亡くなった方の着方なので、必ず**左前(左を上)**にします。 -
腰ひもで固定
腰骨の位置にひもを回し、しっかり結びます。 -
伊達締めで整える
胸下あたりで帯のズレを防ぐために締めます。 -
帯を結ぶ(文庫結びが定番)
背中に羽のような形を作る「文庫結び」は、初心者にも人気。
仕上げに形を整え、帯の中心が背中にくるようにします。 -
後ろ姿をチェック
衿の抜け具合(指2本分程度)と帯の高さ(腰骨より少し上)がポイント。
■ 着物の着付け手順(ステップアップ編)
着物は浴衣よりも工程が多いですが、順序を守れば難しくありません。
【必要なもの】
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肌襦袢・長襦袢
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着物
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帯(名古屋帯など)
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帯板・帯枕
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腰ひも3本
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伊達締め2本
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コーリンベルト(あると便利)
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足袋・草履
【着付け手順】
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肌襦袢・長襦袢を着る
長襦袢の衿を整え、半衿がきれいに出るようにします。
衿の抜き加減は首の後ろに指2本分。 -
着物を羽織る
背中心を合わせ、裾をくるぶし丈に調整します。 -
左前に合わせて腰ひもを結ぶ
シワを伸ばしながら腰骨あたりで固定。 -
伊達締めで整える
衿元のシワを防ぎ、きちんと感を出します。 -
帯を結ぶ(名古屋帯の一重太鼓が基本)
背中で帯を一周させ、帯枕を使って太鼓部分を作ります。
形を整え、帯締めと帯揚げで固定すれば完成です。
■ 着付けを美しく仕上げる3つのコツ
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衿の抜き加減は“指2本分”が黄金比
抜きすぎるとだらしなく、詰めすぎると苦しそうに見えます。 -
シワを作らないように腰ひもを締める
斜め上に引き上げるように結ぶと、ウエストラインがすっきり。 -
全体のバランスを鏡でチェック
正面・横・後ろ姿を確認し、帯が水平になっているかを見るのがポイントです。
■ 自分で着付けをするメリット
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着たいときにすぐ着られる
お出かけ前に着付け教室を予約する必要がありません。 -
コーディネートの幅が広がる
帯や小物を自由に組み合わせ、自分らしい着こなしを楽しめます。 -
所作が美しくなる
着物を着ることで自然と姿勢が整い、立ち居振る舞いが優雅になります。
■ 着付け練習を習慣化するコツ
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まずは浴衣→小紋→訪問着の順でステップアップ
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週に1回、10分でも袖を通して感覚をつかむ
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動画や鏡を使って、自分の動きを確認する
■ まとめ|“自分で着られる”喜びを日常に
浴衣も着物も、手順を理解して慣れれば、誰でも自分で着られるようになります。
最初は少し難しく感じても、「衿を整える」「帯を水平にする」など、一つずつ意識することが上達への近道です。
美しい着物姿は、あなたの魅力を何倍にも引き出します。
ぜひ、自分の手で“日本の伝統美”を楽しんでください。