家族だけで行う新盆法要:心を込めた準備とスムーズな手順、お布施の包み方
初めて迎える故人の新盆(にいぼん・しんぼん)。「家族だけで法要を行いたいけれど、何から準備すればいいの?」「お布施ってどうすればいい?」と、戸惑う方も多いのではないでしょうか。新盆は、故人様が亡くなってから初めて迎えるお盆であり、大切な故人を偲び、供養する意味合いの深い行事です。
この記事では、家族だけで新盆法要を執り行う際の手順を、準備から当日の流れまで具体的に解説します。また、僧侶へのお布施の準備方法や渡し方についても、マナーに沿って詳しくご紹介します。心を込めて故人を供養し、家族にとって大切な思い出となる新盆を迎えられるよう、ぜひ参考にしてください。
新盆(にいぼん・しんぼん)とは?なぜ家族だけで行う?
**新盆(にいぼん・しんぼん)**とは、故人が亡くなってから四十九日を過ぎて初めて迎えるお盆のことです。地域によっては「初盆(はつぼん)」とも呼ばれます。故人の魂が初めて自宅に戻ってくる期間として、特に手厚く供養されるのが一般的です。
近年では、家族構成やライフスタイルの変化により、大規模な法要ではなく、家族やごく近しい親族のみで新盆法要を行うケースが増えています。その主な理由としては、以下のような点が挙げられます。
故人の遺志や家族の希望:
故人が生前、「身内だけで静かに送ってほしい」と希望していたり、遺族が少人数での供養を望んだりするケース。
費用や準備の負担軽減:
大規模な法要には、会場費、食事代、返礼品など、多くの費用と準備が必要です。家族だけで行うことで、経済的・肉体的な負担を減らすことができます。
故人をゆっくり偲びたい:
少人数だからこそ、形式にとらわれず、故人との思い出をゆっくり語り合い、心ゆくまで偲ぶ時間を大切にしたいという思いがあります。
新盆法要を行う前の準備:約1ヶ月前から
新盆法要は、お盆の時期(一般的には8月13日〜16日、一部地域では7月13日〜16日)に行われます。約1ヶ月前から準備を始めると、慌てずに当日を迎えられます。
1. 僧侶への連絡と日程調整
早めの連絡:
お盆の時期は僧侶も多忙なため、早めに連絡を取り、新盆法要をお願いしたい旨を伝えましょう。
日程の決定:
家族の都合と僧侶の都合を合わせて、法要の日程を決定します。お盆期間中に行うのが一般的ですが、前倒しで調整することもあります。
場所の相談:
自宅で行うのか、お寺で行うのかなどを相談し、必要に応じて準備を進めます。
2. 招待する親族への連絡(家族だけで行う場合も必要に応じて)
家族だけで行う場合でも、故人の兄弟姉妹など、特に近しい親族には「家族だけで新盆法要を行うこと」と「日程」を連絡しておきましょう。参列を辞退された場合でも、後日改めて挨拶に伺うなど、配慮が大切です。
3. 祭壇・仏壇の準備と飾り付け
仏壇の清掃:
事前に仏壇周りを丁寧に清掃します。
盆棚(精霊棚)の準備:
故人の霊を迎えるための盆棚(精霊棚)を用意します。仏壇の前に小さな机などを置き、以下のようなものを飾るのが一般的です。
位牌: 故人の位牌を中央に置きます。
供物: 故人の好きだった食べ物、季節の果物、菓子などを供えます。水の子(洗った米とナスやキュウリを混ぜたもの)を供える習慣もあります。
精霊馬・精霊牛: ナスやキュウリに割り箸を刺して作る、故人が行き来するための乗り物。キュウリが馬(早く来られるように)、ナスが牛(ゆっくり帰れるように)を表します。
提灯: 新盆では、白い提灯を飾るのが一般的です。故人の霊が迷わず帰ってこられるようにとの願いが込められています。
線香・ロウソク・リン: 日常のお参りと同じく用意します。
盆花: ほおずきやキキョウなど、お盆らしい花を飾ります。
4. 返礼品の準備(家族だけで行う場合は省略しても可)
家族だけで行う場合や、香典を辞退する場合は、返礼品を用意しないこともあります。しかし、もしお供え物などを持参してくださる方がいる場合は、それに合わせた返礼品(お菓子や日用品など)を用意しておくと安心です。
お布施の準備方法:相場と包み方、渡し方
新盆法要で僧侶に渡す「お布施」は、感謝の気持ちを表すものです。
1. お布施の相場
新盆のお布施は、通常のお盆の法要よりもやや高めにするのが一般的です。
地域や宗派、僧侶との関係性、法要の規模(読経のみか、会食も含むかなど)によって異なりますが、目安としては3万円〜5万円程度が一般的とされています。
その他に必要となる費用:
御車代(おくるまだい): 僧侶が自宅まで来てくださる場合の交通費。5千円〜1万円が目安。
御膳料(おぜんりょう): 僧侶が会食を辞退された場合にお渡しする食事代。5千円〜1万円が目安。
2. お布施の包み方
奉書紙(ほうしょがみ)が正式:
奉書紙と呼ばれる和紙で包むのが最も丁寧な方法です。中包みに金額を書き、奉書紙で包みます。
白い封筒でも可:
市販の白い封筒でも問題ありません。郵便番号の欄がない無地の封筒を選びましょう。二重になった封筒は「不幸が重なる」という意味合いから避けるのが一般的です。
表書き:
表面の中央上部に「お布施」または「御布施」と書き、その下に施主の氏名(フルネーム)を書きます。
中袋の書き方:
中袋(封筒の内側や、お金を入れる袋)の表面に金額を旧字体(例:壱萬圓、参萬圓)で記入します。裏面には、施主の住所と氏名を書きます。
お札の入れ方:
お札は、肖像画が上を向くように揃えて入れます。新札を用意するのが望ましいとされています。
3. お布施の渡し方
切手盆(きってぼん)に乗せて:
お布施は、直接手渡しせず、切手盆(お布施などを置く小さなお盆)に乗せてお渡しするのが丁寧なマナーです。切手盆がない場合は、袱紗(ふくさ)に包んでお渡ししても良いでしょう。
渡すタイミング:
法要が始まる前、または法要後にお礼の言葉を述べる際に「本日はお忙しい中、お越しいただきありがとうございます。どうぞお納めください。」などと添えて渡します。
新盆法要当日の流れ(家族だけで行う場合)
家族だけで行う新盆法要も、僧侶をお招きする場合は、基本的な流れは一般的な法要と大きく変わりません。
僧侶のお迎え:
僧侶が到着したら、玄関でお迎えし、仏壇・盆棚の前に案内します。
法要の開始:
僧侶の読経が始まります。家族は僧侶の指示に従い、焼香を行います。
法話:
読経後、僧侶から法話(説法)をいただく時間です。故人を偲び、仏教の教えに耳を傾けましょう。
僧侶への挨拶・お布施渡し:
法要が終了したら、僧侶へのお礼の言葉を述べ、準備しておいたお布施をお渡しします。
会食(省略可):
家族だけで行う場合は、会食を省略し、お供え物などを皆で分け合う形で済ませることも多いです。もし会食を行う場合は、僧侶も同席していただくか、御膳料をお渡しします。
送り火(16日):
お盆の最終日(16日)には、故人の霊を見送る「送り火」を焚きます。自宅の庭やベランダで行うか、地域によっては特定の場所で行うこともあります。
まとめ:心を込めて、故人を偲ぶ新盆を
家族だけで行う新盆法要は、形式にとらわれすぎず、故人をゆっくりと偲び、感謝の気持ちを伝える大切な機会です。
この記事でご紹介した準備手順やお布施のマナーを参考に、慌てることなく、心を込めて新盆を迎えられるよう願っています。故人が安らかに成仏できるよう、そしてご遺族の皆様が穏やかな気持ちで過ごせるよう、大切な新盆法要を執り行ってください。