【電子レンジのギモン解決!】600W・700Wって何度になるの?安全な耐熱容器で美味しく温めるコツ
電子レンジは、私たちの食卓に欠かせない便利な家電ですよね。でも、「600Wとか700Wって、いったい何度になるんだろう?」「どの容器を使えば安全なの?」と疑問に思ったことはありませんか?
実は、電子レンジのワット数と食品の「温度」は、一対一で対応するものではありません。この記事では、電子レンジの加熱の仕組みから、安全で美味しく温めるためのワット数の考え方、そして適切な耐熱容器の選び方まで、分かりやすくご紹介します。
電子レンジのワット数(W)と「温度」の関係って?
まず大切なポイントは、電子レンジのワット数が、オーブンやガスコンロの「何度」という温度設定とは少し違う、ということです。
電子レンジのワット数は、電磁波を出す**パワー(電力)**の強さを示しています。電子レンジは、食品に含まれる水分を振動させて、その摩擦熱で食品を温めます。例えるなら、ガスコンロの「強火・中火・弱火」のような火力設定に近いイメージです。
そのため、食品が最終的に何℃になるかは、ワット数だけでなく、様々な要因で変わってきます。
- 食品の種類:水分量、油分、糖分が多いほど温まりやすい傾向があります。
- 食品の量:量が多いほど温まるまでに時間がかかり、同じワット数でも最終温度は低くなりがちです。
- 食品の初期温度:冷蔵庫から出したばかりか、常温かでも温まり方が違います。
- 加熱時間:当然ですが、長く加熱するほど温度は上がります。
例えば、コップ一杯の水なら600Wで数十秒温めれば沸騰しますが、冷凍された大きなお肉なら同じワット数で何分もかかりますし、中心まで温まらないこともありますよね。このように、ワット数=何度、とは一概には言えないのです。
600Wと700W、加熱時間の目安は?
レシピによく書かれている「電子レンジ600Wで〇分」という表記。もしご自宅のレンジが500Wや700Wだったらどうすればいいのでしょうか?
これは、以下の計算式で加熱時間の目安を割り出すことができます。
(レシピのワット数 ÷ ご自宅のレンジのワット数) × レシピの加熱時間 = ご自宅での加熱時間
例1:600Wで3分のものを500Wで温める場合
(600W ÷ 500W) × 3分 = 3.6分(約3分36秒)
例2:600Wで3分のものを700Wで温める場合
(600W ÷ 700W) × 3分 = 約2.57分(約2分34秒)
あくまで目安ですが、このように時間を調整すると、よりレシピ通りの仕上がりに近づきます。最初は短めに加熱して、足りなければ追加で温めるのが失敗しないコツですよ。
電子レンジに「適切な耐熱容器」ってどんなもの?
電子レンジに使える容器は、素材によって種類や注意点が異なります。安全に使うために、ご自宅の容器が「電子レンジ対応」か、そして**「耐熱温度」**を確認することがとても重要です。容器の底面や側面に表示されていることが多いので、ぜひ見てみましょう。
一般的に、日本工業規格(JIS)では電子レンジ用容器の耐熱温度を140℃以上と推奨しています。
安心して使える代表的な容器
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耐熱ガラス製
- 特徴:透明で中身が見やすく、臭いや色が移りにくいのが大きなメリット。急激な温度変化に強い設計なので、安心感があります。油分や糖分が多い食品の加熱にも比較的強く、オーブンレンジでの調理にも使えるものが多く汎用性が高いです。
- 注意点:急冷は避けましょう(熱いまま氷水につけるなど)。強化ガラスやカットガラスは耐熱ではない場合があるので注意が必要です。
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耐熱プラスチック製(ポリプロピレン/PP表示)
- 特徴:軽くて扱いやすく、価格もお手頃なため、最も普及しているタイプです。耐熱温度が140℃以上の「ポリプロピレン(PP)」と表示されているものが電子レンジ対応です。
- 注意点:油分や糖分が多い食品(揚げ物、カレー、シチュー、中華料理、大学芋など)を加熱すると、食品自体の温度が200℃を超えることがあり、容器が変形したり溶けたりする危険があります。このような食品には、耐熱ガラスの利用をおすすめします。ポリスチレン(PS)製の容器はレンジ不可の場合が多いので注意しましょう。
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陶器・磁器製
- 特徴:食器としてそのまま食卓に出せるため、温め直しに便利です。
- 注意点:金や銀の装飾があるもの、ひび割れがあるもの、素焼きの土鍋などは、火花が出たり破損したりする原因になるため、電子レンジでの使用は避けましょう。
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シリコン製
- 特徴:柔らかく、型崩れしにくいため、蒸し料理やケーキ作りなどにも使えます。
- 注意点:製品の耐熱温度を確認し、油分が多いものの加熱には注意が必要です。
電子レンジで使ってはいけない・避けるべき容器
- 金属製のもの:アルミホイル(部分的な焦げ付き防止にはごく少量可)、ステンレス、ホーロー、金串など。火花が飛び散り、故障の原因になります。
- 非耐熱ガラス:普通のガラスコップやクリスタルガラス、カットグラスなど。急激な温度変化で割れる可能性があります。
- 木製・漆器:発火したり、変形・破損したりする恐れがあります。
- 耐熱表示のないプラスチック:コンビニ弁当の容器でも、加熱に対応していないものもあります。
- 密閉性の高いフタや袋:加熱中に蒸気がこもり、破裂する危険があります。必ずフタを外すか、蒸気弁を開けて使用しましょう。
特に注意!油分・糖分の多い食品の加熱
電子レンジで最も注意が必要なのは、油分や糖分を多く含む食品です。
これらは水分と比べて温まり方が特殊で、食品自体の温度が200℃以上になることがあります。一般的なプラスチック製耐熱容器の耐熱温度が140℃程度なので、容器が耐えられず、変形したり焦げ付いたりする原因になります。最悪の場合、発火につながる危険性もあります。
- 具体例:フライドポテト、唐揚げなどの揚げ物、カレー、シチュー、ミートソース、大学芋、あんまん、中華まん、など。
これらの食品を温める際は、できるだけ耐熱ガラス製の容器を使用するか、短時間ずつ様子を見ながら加熱するように心がけましょう。
電子レンジをもっと安全・美味しく使うコツ
- 加熱ムラをなくす:
- 食品を平らに広げる、またはドーナツ状に配置する。
- 途中で一度取り出してかき混ぜる、またはひっくり返す。
- 加熱後すぐに取り出さず、庫内で少し(1~2分)置いて余熱で全体を温める。
- 温めすぎない:焦げ付きや容器の破損、食品の乾燥の原因になります。
- 急な温度変化を避ける:熱い容器を冷水に浸すなど、急激な温度変化は破損の原因になることがあります。
まとめ
電子レンジのワット数は、直接的な**「温度」を示すものではなく、「パワー」の強さです。食品の種類や量、加熱時間によって最終的な温度は変わります。そして何より大切なのが、適切な「耐熱容器」**を選ぶことです。特に油分や糖分が多い食品を温める際は、容器の素材に注意し、耐熱ガラスなどを活用することをおすすめします。
これらの知識とコツを活かして、日々の電子レンジ調理をより安全に、そして美味しく楽しんでくださいね!